2017.5.29.mon.

活動休止から考察する、国内デザイナーの閉塞感

 あるデザイナーがクリエイション活動を休止した。3月に路面店をクローズしていたので、その時点から少し気になっていた。ビジネスは比較的安定していて、海外にも取引先がある。関係者には事情を説明し、当面の間アイテムを生産しないことを伝えたという。デザイナー自身の会社は存続させるが、路面店の運営や卸事業はすでにストップしている。真意のほどは分からないが、モチベーションの低下が最大の要因のようだ。デザイナー本人の意向によりブランド名は明かさないが、バッカー(支援者)がいない中で、経営とクリエイションの両面を担当する疲れがあったのだろうか。

 近頃、30〜40代前半のデザイナーから「これからどうしたら良いのか?」「ちょっと休みたい」という発言を聞くことが多くなった。国内のデザイナーズ市場が小さくなりつつあり、その一方で海外へチャレンジする余力もない。食べていくには困らないが、海外で「負け戦」もしたくない。愚痴のようにも聞こえるが、デザイナーの気持ちも分からなくもない。

 客観的に見れば、日本はアパレル企業やデザイナーズブランドのプレイヤーが多過ぎて、思ったほど集約が進んでいない。また、ECやSNSの影響力が大きくなり、バイヤーによる「目利き」の求心力は小さくなった。デザイナーの周辺環境は、バイヤーに加え、消費者へ直接アピールすることも重要になっている。その分、デザイナーの労力も大きくなった。苦心しながら毎シーズンのショーと展示会を終え、体力・精神的にもモチベーションが低下してしまう。

 ここでローカルからグローバルへ舵を切るブランドも少なくないが、前述した「負け戦」という言葉につながる。ファッション業界は参入障壁が低く、若手デザイナーにもチャンスが広がる健全なマーケットだが、その分競合も激しい。ここ20年を見ても、欧米、アジアで成功した日本人デザイナーは数人しかいない。他業種から見れば、非常に厳しい業界に映るだろう。

 この閉塞感の中で踏ん張るしかない。デザイナー1人で行う業務には限界があり、チーム体制でクリエイションを進めるのも一考だろう。展示会に特化して売り上げを伸ばしたブランドもあれば、SNSを駆使して知名度を上げたブランドもある。経済やファッション市場は生き物みたいなもので、成功事例(コム デ ギャルソンやサカイ)を後追いしても通用しない。軽はずみなことは言えないが、ブランドの将来を考え抜くことで一筋の光明が見えてくるかも知れない。資金がなければ、頭を使って考えるしかない。

原宿の路上でショーを行った「コーシェ」、こうしたアイデアも必要なのかも知れない(17年春夏シーズン)


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