2017.8.29.tue.

求心力を失った「東京ファッションデザイナー協議会」は再興できるのか?

 東京ファッションデザイナー協議会(CFD)は、議長が交代後に初となる定時総会を行った。総会で明らかになったのは、会員数が約40組に減ったという事実である。宮前義之「イッセイ ミヤケ」デザイナーや津森千里「ツモリ チサト」デザイナーなど、イッセイミヤケ、エイ・ネットに所属するデザイナーの名前が消え、その陣容は寂しいものになってしまった。

 なぜ、ここまで求心力を失ったのか。断っておくが、デザイナーによるデザイナーのための団体はCFDしか存在しない。周辺環境を見ると、東京のファッション・ウィークは、日本ファッション・ウィーク推進機構が主催し、デザイナーと企業のマッチングを図る事業は、日本アパレル・ファッション産業協会が手掛けている。数年前から顕在化しているCFDの手詰まり感は、会員数の減少という形で表れているのだろう。

 誤解を恐れずに言えば、求心力の低下は、CFDとデザイナーの双方に責任がある。置かれた環境は厳しかったが、発言力を強める施策はCFDにあったはず。ファッションやデザインに関わる特定の事象があればもっと発言するべきで、道義的なファッションイベントも開催できたと思う。近年のCFDは、ファッションデザイナーのクリエイティビティ向上やビジネス機会の創出を掲げてきたが、どちらも道半ばという印象。会員の年会費を下げ、若手により門戸を広げてきたものの、逆に団体の資金力が乏しくなるという悪循環も露呈していた。

 一方、デザイナー側にも責任がある。そもそも連携するという考えがなく、個人主義的な人物が主流だ。若手・中堅デザイナーが入会しても「メリットがない」「やっぱり年会費を払えない」「欧米で活躍するデザイナーがいない」「ビジネスに結びつかない」という理由から退会が増えていた。こうしたドライな意見も分からないでもないが、CFDに求めるのはビジネスではないはず。川久保玲、山本耀司、阿部千登勢らがいないとする意見もあったが、それは“無い物ねだり”というものである。他力本願とも思える発言が相次ぎ、本来の志を持ったデザイナーたちも離れてしまった。

 ヨコのつながりが希薄なデザイナー業界にあって、CFDの役割は大きいはずだ。もし不測の事態が起こった時、この団体が前面に立つこともできる。1985年のCFD設立当時は、デザイナー同士がケンカをしながら意見を集約していたとも聞く。そんな時代は過去のものとなりつつある。ちなみに欧米やアジアのファッション団体では、政治や経済、国際情勢についても積極的に発言している。移民問題やセクシャルマイノリティに対するスタンスも同様だーー。6月の臨時総会で新議長に推挙され、この難しいタイミングで就任した中川淳郎氏の手腕に期待したい。同氏は財務体質、組織の基盤強化に取り組む方針を明らかにしている。

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