2017.10.4.wed.

記憶に残るショップの作り方、10周年を迎えた「ミュベール」の場合

 ウィメンズブランド「ミュベール」(MUVEIL)は、今年6月に開設した「M」のショップで企画展「A name of blanks .」を開催している(10月9日まで)。ショップ開設と同時にデビューした「M」は、ごく限られた品番とパーソナルな販売方法を執り、ショップ側にアポイントを入れてウエアを購入する形になっている(土、日はフリーの通常営業)。現在は約30型を並べ、メンズウエアを解体してパターンを再考したウィメンズアイテムを提案。ポップなイメージの「ミュベール」と比較し、シンプルシックな「M」という構図になっている。価格は「M」の方が平均で20%程度高い。

企画展を行いながらブランドの世界観をアピール



 ショップ機能に加え、ショールーム的な側面も併せ持つ。東京発のブランドでは珍しいこのパーソナルな販売方法に注目が集まっているが、一方で「コト消費」を意識した体験型ショップであることも分かった。

 多くのメディアで報道されているが、このショップは、東京・神田明神の奥にあるビルの3階にある。神田明神の境内と直結したビルで、静謐な隠れ家のような雰囲気。鳥居を潜り、表参道を通ってショップを目指すが、その時点で「記憶に残る体験」になっている。つまり、服を買いに神田明神へ行き、入店を前に神様の目前を通るのである。そこで服を買ったならば「神田明神近くのビルの一室で買ったな…」と思い返すのだろう。大量消費されていくアパレル商材にあって「どこで買ったのか」という消費者の記憶に残る体験を取り込んでいる。

 また、デザイナー側から見ると「神様に見守られながらデザインできる」という安心感がある。筆者は、パワースポット巡礼の恩恵やスピリチュアルな体験も皆無だが、何となく安心感があることは理解できる。ちなみに「ミュベール」は、ブランド展開から節目の10周年を迎えた。青山エリアで最先端のトレンドに触れるだけではなく、喧騒を離れた場所でショップを運営する気分だったとも推測できる。そういえば同ショップの隣には、山縣良和「リトゥンアフターワーズ」デザイナーがアトリエを構えている。山縣デザイナーは、2013年春夏シーズンに「THE SEVEN GODS」(七服神)と題したスペクタクルなショーを敢行。神田明神に祀られるオオナムチノミコト、スクナヒコナノミコト、タイラノマサカドノミコトとも通じるコレクションを披露している。このあたりも、何か共通項がありそうである。

「M」の秋冬アイテム


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