2017.11.7.tue.

長期化する東京デザイナーの展示会、最適な時期はいつなのか?

 2018年春夏シーズンの展示会が始まって2ヶ月が経過した。東京を拠点にしているデザイナーは、最も早いブランドで8月下旬、遅いブランドでは10月下旬に展示会を行っている。約1年前から展示会の期間が長くなり、欧米のファッション・ウィークに先駆けて商談を進めるデザイナーが増えた一方、東京のファッション・ウィークの後に見せたいというデザイナーもいることから「長期化状態」になっている。一部の小売店バイヤーからは戸惑いの声も出始め、最適な時期を再考することも求められそうだ。

 去る8月25日、渋谷のトランクホテルで18年春夏シーズンのファッションショーを開催した江角泰俊「ヤストシ エズミ」デザイナーは、発表時期を早めた理由について「海外のショールームに出展するので、サンプル制作を早めている。海外のビジネスも軌道に乗り、早期化が結果に表れている」と語る。東京よりも早くファッション・ウィークが始まるパリで出展するため、サンプル制作を早める必要があった。また「いち早く日本の皆さんに見てほしいので、必然的にショーの日程も早くなった」とする。同じく、ショーの日程を早めている森下慎介「ラマルク」デザイナーもビジネスへの好影響を明かしている。森下デザイナーは「今まで来場していなかった有力バイヤーがショーを見てくれるようになった。その後の個展(展示会)にもバイヤーが来ている。NYコレクションの前に見せたいという狙いもあった」と語る。

「ヤストシ エズミ」2018年春夏コレクション



 ショーを行っていないデザイナーからも、展示会の早期化を歓迎する声が挙がっている。茅野誉之「チノ」デザイナーや尾崎俊介「ジーンジニーアンドハングリーフリークス、ダディ」デザイナーは「サンプルを早く見せることで、バイヤーの買い付けを促す」ということだった。両者とも上海のショールームを介し、海外の取引先が伸長。今後は欧米でのビジネス拡大を目指し、サンプル制作を早めた現在のスケジュールを維持する考えだ。

「ラマルク」2018年春夏コレクション



 ビジネスへの好影響が見られる反面、明確な狙いがないデザイナーも散見される。周囲の動きに合わせる形で展示会を早めたが、バイヤーが来場していないケースもある。また、某ブランドは9月、10月に個展を行い、10月の合同展示会に2回参加するという計4回体制を執っていた。このブランドのデザイナーは「サンプル制作を早めても大手セレクトや地方店、アジア系のバイヤーなど、それぞれ買い付ける時期が違う。個々に対応する必要があった」としている。こうした止むを得ない事情で展示会を複数回行うブランドもあり、デザイナーにとって悩ましい問題になっている。

 デザイナーの個展が長期化する中で、有力な合同展示会も9〜10月に行われた。「PR01. TRADE SHOW TOKYO」「PASSAGE」「プラグイン」は10月、「JFW-IFF MAGIC」「アンビアンス」などは9月開催で集客している。海外のバイヤーが増加していたのが「PR01. TRADE SHOW TOKYO」と「PASSAGE」で、国内の地方店バイヤーが増えているのは「アンビアンス」という印象。各合同展の関係者に話を聞くと「開催日程については、いつも頭を悩ませている」という答えが返ってきた。

「PR01. TRADE SHOW TOKYO」は10月17〜19日に行われた



 肝心のバイヤーの意見はというと、名前を出さないという条件で取材に応じてくれた。某百貨店バイヤーは「東京のファッション・ウィークの翌週が現実的(10月中旬)。パリやNYで出展すれば、もちろん見に行く。ただ展示会が早過ぎると、買い付けの判断ができないケースもある」。大手セレクトショップのバイヤーは「10月に展示会を開催した『アキラナカ』『ミュベール』などを参考にしてみては。彼らはファッション・ウィークと別の週に行っている」。さらに地方店のバイヤーは「何回も出張で東京に行くことができない。従って10月にまとめて買い付けたい」と語る。ここ毎シーズン、東京のファッション・ウィークに来ているニック・ウースター=ファッション・ディレクターは「ファッション・ウィーク中にすべてを完結してほしい。海外から来ているバイヤーはそう思っているはず」とした。

 よりビジネスを円滑に進めるには9月上旬、10月中旬という2つの選択肢がありそうだ。前者は海外出展を視野に入れるデザイナー、後者は国内市場を主眼に置くデザイナーという構図が浮かび上がる。ただ前者は「サンプル制作を大幅に早める」というクリエイションのリスクがあり、後者は「量産に入るまでの期間が短くなる」という生産面でのリスクがある。どちらも一長一短と言えるが、ブランドの方向性と強みを生かしながら施策を進めることが必要だ。

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