2017.12.19.tue.

ファッション産業における「外国人技能実習制度」問題の責任

 日本で働く外国人労働者が100万人を超え、新聞紙上を賑わせている(2016年度 厚生労働省調べ)。そのうち23万人以上が、いわゆる「外国人技能実習制度」を活用している人たちで、主に建設業、農業、漁業、繊維業に従事し、日本の高い技術を学びながら報酬を受け取っている。

 しかし、多くのメディアで報道されているように、実態として低賃金の単純労働者を確保するための方策になっている。先日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)で取り上げられたように、悪質で絶望的な縫製工場になっているケースもある。放送翌日、縫製していたブランドを特定されたジャパンイマジネーションが「現在は同工場での製造は終了している」と異例のコメントを発表。繊維業の現場で起こっている緊急事態に、不名誉にも注目が集まってしまった。

 こうした事態を受け、日本政府は「外国人技能実習制度」を徹底させるため、人権侵害に対して罰則を与える新制度を今年11月に導入。実習計画を厳しくするほか、報酬が日本人と同等であること示す資料の提出など、雇用主と労働者双方が合意していることが求められるようになった。パスポートの取り上げや強制労働が発覚すると、懲役や罰金が課せられる。その一方で、優良な実習生は、実習の最長期間を現在の3年から5年に延長することもできる。

 国連の調査機関が「奴隷制度になりかねない」として声明を出し、世界各国から批判された経緯もある。慌てて制度を厳しくしたものの、労働搾取の現状はそう変わりそうもない。前述した外国人実習生の数も明らかになっているだけで、実際は潜伏化し、さらに多いと考えられる。労働集約型の縫製業では、まず若い人材が集まらない。メード・イン・ジャパンの気運が高まり、需要が回復しつつあるとはいえ、職人の高齢化や人手不足は如何ともし難い。

 筆者が数年前に取材したデニムの加工工場では、中国人労働者が主流だったが、今はベトナム人、カンボジア人、ネパール人が急増しているという。また、ニット工場の関係者に話を聞くと、「テレビ番組の影響で現場は改善へ進むと思うが、労働集約型の現状は変わらない。いずれ工場は立ち行かなくなるのでは」と語る。日本国内で販売されているニット製品の99%以上が海外で生産されており、残りの1%弱についても外国人実習生に頼る形になっている。もちろん日本人が生産しているニット工場もあるが、非常に少数派であることに変わりはない。

 ジャパンイマジネーションの一件は、まさに氷山の一角であり、日本のファッション業界に示された最後通告とも思える。つまり、ブランド価値を高めた商品でないと、工場はうまく回らないということだろう。工場に利益が配分されるには、デザイナー系の高額ゾーンやニッチなマーケットを攻めるしかない。ひいては、日本人デザイナーの育成や高付加価値のファクトリーブランドを展開してこなかったツケが回ってきた。外国人労働者の問題は工場だけの責任ではない。日本のファッション産業全体の責任といえる。

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